千利休によって大成された茶の湯。一服の美味しい濃茶を客にさしあげるため、亭主は時候の道具や花を準備し、炭を直して湯合いを保ち、一献を添えて懐石をお出しします。その4時間にも及ぶ茶事、それこそが茶の湯の本来の姿です。

茶事をするには、待合や露地、懐石道具等が必要であり、残念ながら、どこの茶道教室でもできるという訳ではありません。

且庵では、寄付、待合、茶室、露地、そして茶事に使う様々な道具。すべてが揃っており、正式な形での茶事をお稽古していただけます。

蹲や腰掛の使い方、露地の通り方、そして迎付の作法。さらに席入から炭点前、中立ち、濃茶、後炭、薄茶まで。普段のお稽古の集大成とも言える茶事を、正式な流れに沿って主客に分かれて学んでいきます。
もちろん、ただ作法を学ぶだけでなく、季節にふさわしい道具の取り合わせや花、お菓子など、五感で楽しみながら茶の湯の真髄である茶事を体感していきます。

 

表千家家元の台所を預かる茶懐石の「柿伝」。永年「柿伝」に師事し、茶懐石を学んでまいりました。茶懐石とは、決して奇を衒った料理ではなく、新鮮な旬の食材を用いて、熱いものを熱く、冷たいものを冷たくお出しするという基本に忠実に則ってお出しする料理です。

茶事の主眼目はあくまで濃茶であり、懐石はその濃茶を美味しく飲んでいただくための、軽い腹ごしらえという位置付けです。とはいえ、お客様には美味しい料理とお酒でもてなしたい、そんな気持ちを表しつつ、料理人ではない私たちでも作ることのできる茶懐石。そういう献立を工夫して、皆さんにお伝えし、実際に皆で作っていきます。

稽古茶事では、ある程度調理が進んだところで、亭主側と客側に分かれ、茶事の中で懐石をお出しする作法、客としていただく作法を学びつつ、料理をいただきます。お出しする順番や作法はいろいろありますが、やはり熱いものを熱いうちに、冷たいものを冷たいうちにお出しすることが一番重要だと考えています。

八寸では千鳥の杯の作法も学びます。亭主と客がお酒を注ぎつ注がれつ、和やかに進められる千鳥の杯は、茶事ならではの楽しい作法です。